無理のない航海計画

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出港に当たっては艇の性能、航行区域、操船技術、自然条件等を考慮して無理のない航海計画をたてること。
 2 遠出をする場合はできる限り2隻以上のグループで行動すること。
行動予定海域の地形、海潮流、水深等の自然条件については、海図等の水路図誌により、あらかじめ十分把握しておくこと。

天気予報を十分確認し、気象・海象の変化を注意深く観察

出港に当たっては、テレビ、ラジオ、新聞等で常に最新の気象・海象情報を入手し、注意報、警報等が発令されている場合や、気象・海象の悪化が予想される場合は、出港を控えること。
 天気は、天気予報や天気図あるいは気象台または測候所などの気象通報によって知ることができますが、自分で天気を判断する簡単な一つの方法として、雲や風の状態を見て将来の天気を予測する方法があります。これを観天望気と呼んでいるもので、航海者にとっては欠かすことのできないものです。

(1) 朝から昼にかけて風が強まり、その後、夜にかけて弱くなるときは、一般に良い天気が期待できます。夜になって風が強くなるときは、低気圧が近づいている恐れがあります。
(2) 沿岸で海風や陸風が現れるのはのは良い天気で、そうでない場合は、天気はくずれる恐れがあります。
(1) 天気は西から東へ移っていきますので、西の空が遠くまで晴れているとき又は夕焼けになるようなときは、良い天気となります。ただし、鮮紅色又は黄緑色の夕焼けは、台風が近づいたときに見られるものです。また、朝焼けは天気のくずれる前兆です。
(2) さまざまの高さに雲が層状に横たわっているときは、天気は一般に悪くなるときです。
(3) 上層雲が西の空から出てくるときは、天気のくずれる前兆です。日がさ月がさは、氷雲~絹層雲を通してあらわれる現象ですから、これが見られるようなときは、一般に天気はくずれてきます。
(4) 入道雲の頂上付近に絹雲状の雲がとりまくと、ほぼ確実に雷雨となります。
視程 (1) 煙霧が濃くなるのは天候が悪くなる前兆です。
(2) 朝霧が日の出と共に消えるときは天気は良いが、消えないときは悪くなるといわれています。

船体、バッテリー、燃料を点検し、暖機運転により機関の各部の点検

船体 船底プラグは完全に閉鎖されているか。
船底ビルジは溜まっていないか。
係留索に損傷はないか。
船灯(マスト灯、両色灯等)は点灯するか。
舵輪と舵は滑らかに作動するか。
燃料は十分あるか。
破損部分はないか。
水、食料などの積荷はバランス良く積まれているか。
機関始動前 バッテリー液は適量か。
バッテリーターミナルに緩みはないか。
バッテリー電圧は十分あるか。
Vベルトに緩み、ヘタリ、傷がないか。
燃料こし器に水やゴミが詰まっていないか。
潤滑油は適量か。
 機関始動後

冷却水が冷却排水口から出ているか。
排気色は無色で、臭いはほとんどないか。
冷却水温度計は適正温度を示しているか。
潤滑油温度計は適正温度を示しているか。

異常な音(不連続音、きしみ音等)がないか。

発行前点検チェックリストを印刷し、船内に備え置きましょう!

発行前点検チェックリスト

周囲をよく見張り

 航走中はもとより、漂泊中、錨泊中も見張りを励行し、周囲の船の動きに注意するとともに、定期的に船位を確認すること。

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見張りは、目だけでなく、耳や鼻も使うこと。

見張りは、前方だけでなく、側方や後方も行うこと。
 3 旋回時には、旋回方向に十分注意し、側方や後方にも船がいないことを確かめること。
他の船舶だけでなく、遊泳者や浮流物の状況、その他岩礁や漁網の位置など、すべてのものに対して見張りを行う。潮目などには、浮流ゴミにまじって流木が浮いていることがありますので、近寄らない方が無難
長時間停止しているボートには、接近して故障か否かを確認するような配慮も必要
太陽に向かって航走する場合や白波のあるときの海面見張りは難しく、遊泳者、浮流物などを見落とすことがありますので注意
雲のただずまいや海面の状態から、気象の急変を予想することができますので、観天望気もおこたらないこと。
異常を発見したらその後の状況の変化に注意
他船の灯火・形象物・信号旗にも注意

「いつ、だれと、どこへ」を連絡

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出港前には、マリーナ、家族、知人等に出港予定日時、入港予定日時、目的地等の航海計画を連絡すること。
<マリーナ利用者は、マリーナ責任者等に次の内容を届出>
 ・出港日時及び入港予定日時
 ・乗船者の氏名、住所、連絡先
 ・航行目的
 ・航行経路
 ・その他の必要事項
 2  入港後に出港前に連絡したところに無事入港したことを通報すること。

法定安全備品・法定書類の積込の出航前チェック

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出港にあたっては海技免状、船舶検査証書、船舶検査手帳等の法定書類の確認及び救命浮環、救命胴衣、消火用具、工具、予備品等の法定予備品の積込の確認を行うとともに、いつでも使用可能な状態にしておくこと。

海の交通ルールを守り、最大搭載人員を厳守

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海上衝突予防法、港則法及び海上交通安全法の海上交通ルールを遵守すること。

荒天等により航海計画を変更した場合は、出港前に連絡したところに通報すること。
 3 工事・作業が行われてる海域には、浮標又は赤旗等により危険区域が表示されているので、その区域には入らないこと。
航路内及び狭水道に投錨したり、停留したりしないこと。また、浮標や灯浮標には係留しないこと。
船舶検査証書に記載された最大とう載人員を厳守すること。
乗船者全員が救命胴衣を着用すること。

出航中止・早めの帰港

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海の気象は、変わりやすいもの。出港後もラジオ等で天気予報を聞き、また、風、雲、波等の変化にも注意し、天候が悪化すると判断したら早めに帰港すること。
 2  荒天等により航海計画を変更した場合は、出港前に連絡したところに通報すること。

係留状態の確認

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岸壁や桟橋に係留する場合は、荒天等により船が流出したり、他船と接触することのないよう注意すること。
 2  雨水や波の打ち込みを防止するため、開口部は、確実に閉鎖し、特に長期間係留する場合は、定期的に見回ること。